トリビア・ジャーナル1655

★「南極」の本が発売になり、その次に私がいま取り組んでいる翻訳は、「長寿もの」。著者は老人医学の世界的な権威アレグザンダー・ザヴォロンコフ(Alex Zhvoronkov)がまとめた"The Ageless Generation: How Advences in Biomedicine Will Transform the Global Economy." 私の仮題は「長寿ルネサンス」。20世紀後半からの寿命の延びは驚異的だが、それは医学や治療技術の進歩、新薬の導入、環境整備などさまざまだし、最近では臓器移植から人工臓器の開発も盛んだ。私は長寿関連の本を訳したり、読んだりして、従来のアプローチの仕方に不満を抱いていた。つまり医学オンリーの本では寿命を延ばすことだけに焦点を合わせ、それがもたらす超高齢化社会をどうすべきかについては触れない。一方、長寿のルポは、やはり現状を報告するだけ。解決策はない、といってしまえばそれでオシマイなのだが、この著者はバランスの取れた視点を持っていて、それではどうしたらいいのか、まで踏み込んでいる。高齢化社会のおかげで国家財政はどこも火の車。年金や医療費の増加で、負担に耐えられなくなっている。日本でも、増税が近い。著者は、長寿社会では定年を延ばして働く期限を延ばして国庫負担を軽減できるという。それで簡単に懸案が解決するとは思えないが、根本的な社会改造への提言が私案として披露されている。その点が気に入って、私は刊行前にエージェントからPDF原稿を見せてもらって自主的にレジュメを作り、ある出版社が版権を取って、私が翻訳を進めている。
★私がこの本を訳していて面白いと思うのは、私が老化のメカニズムについて知らないこともあるし、私が老化過程のまっただ中にあるからでもある。この本を精読したところで、私に延命効果が現れるとは思わないが、なるほどと思うことが多々あるなあ。たとえばーーコラーゲンと並んで、皮膚のなめらかさ、柔らかさに貢献するエラスチンは、15歳くらいで人体は生産をやめちゃうんだって。ケチ! でも考えてみれば、80歳のばあさんが、赤ちゃんのようにもち肌でシワがなければ、慣らされている常識からいえば、キモイもんなあ。エラスチンが早くに生産中止になるなら、そのサプリがあるはずだと、と思ってインターネットで捜してみると、はたしてたくさんあった。翌日、町を歩いていたとき、偶然DHCの店の前を通ったので、試しに買ってみた。悪いけど、効果jは期待していない。私がこの本は面白いと思うんだから、多くの高齢者およびその予備軍にとっても興味はあるはずだ。ボクにふさわしいこの本を今年中に訳し終えたら、私はこれをもって翻訳ジョブの終焉としてもいいのだが、そのころには、また翻訳して見たい本が出て来ちゃいそうな気がする。あるいは、この知的作業が私の老化防止の特効薬かもしれないから。 
★今年1月にフェイスブック(FB)を始めてから、私のメインは、ブログから徐々にそちらに移行した。FBではほとんど毎日、主として写真付きで、情報を発信している。フレンズはいまのところ50人以内に限定しているが、外国人も増えてきたので、ときに英文も書く。その分、ブログを書く回数は減ったのだが、アクセス数がゼロになる日はないので、先細りながら、まだ引退宣言はしない。双方を見てくれる「読者」もいる。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1654

★私の訳書"Antarctica"は、邦題『命がけで南極に住んでみた』という邦題で、9月25日に柏書房から発売になる。400ページを超え、定価は2625円。このタイトルは何やら冒険記ふうだが、惹句には、「極寒の世界で繰り広げられている、最新研究と日常生活のすべてを明かす!」と謳っている、イギリスの若い女性ジャーナリスト、ゲイブリエル・ウォーカーの優れたルポだ。彼女は大学で化学を講じていた経験があり、科学に強いし、語り口もジャーナリスティックな聞き書きのまとめ方もうまい。南極という特殊なテーマなので、訳本を関連した施設でも扱ってもらえないか、と、二か所に行ってみた。
 ①立川に国立極地研究所があり、南極・北極科学館を併設している。訳本にも出て来るが、厚い氷にドリルで穴を開け、何百メールもの深さか何万年も前の氷床コアを取り出し、含まれた気泡から当時の気象状況を探ることができる。フランス・イタリアやロシアも成果を上げているし、日本の貢献度も高い。その氷床コア採掘の機械が展示してある。南極は、隕石の宝庫だ。隕石は地表に等しく降って来るが、南極には木々も人工建造物などの遮蔽物がない、地面は白いから見つけやすい。埋もれても、氷河で流されているうちに地表の突起部に引っかかって地表に出てくる。したがって隕石が見つけやすい。日本は隕石拾いも得意分野で、何トンも集めている。隕石は小惑星からのものが圧倒的に多いが、稀に惑星のものが含まれる。科学館には、超レアな、火星と月からの隕石も展示されている。
 ②もう一つの施設は、8月半ばに横浜 Mark Is みなとみらいにオープンした、Orbi Yokohama 。BBC Earth とGIGAがコラボレートしたエンターテインメント施設で、目玉は長さ40メートル、高さ8メートルの湾曲大スクリーンで、ここでは「北極・南極の四季」を上映している。ほかに、マイナス20度を15秒体験できるコーナーや、野獣、海中生物、昆虫などの世界を映像で疑似体験できるシアターもある。
 二つの施設ともショップには書籍が置いてあるので、出版社の営業に、並べてもらうよう頼んでいる。細工は隆々。
★私の次の訳書は、"The Ageless Generation"に決まり、翻訳作業に取りかかっている。「南極」もこの「長寿」の本も、ボクが気に入って、自主的にレジュメを作ってあちこちの編集者に呼びかけたもの。ボクは自分で翻訳したいものだけをセレクトして工作しているのだが、同じことをやっている翻訳家もいるもので、こんどの「長寿」では、もう一人の翻訳家が別の出版社に売り込んでいたことが分かった。結局そちらは降りたので、また柏書房と二人三脚でやることになった。こちらはそれほど厚くないので、今年中には、出稿を終えられる予定。仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1653

★"Antarctica"の日本語版は、9月末に刊行される。原著者ゲイブリエル・ウォーカーに「日本語版への序文」を書いてもらうのはどうだろう、と出版社にあらかじめ提案しておいた。エージェントを通じて依頼し、彼女は外国へ行ったりして多忙だったのだが、再校段階の土壇場で入稿した。狙いは、図星だった。実は、本文中に日本への言及がない。彼女が、まだ日本の観測基地に行っていないからだ。だが彼女が日本語版のために追加原稿を書いてくれることがOKになったので、日本の南極に対するコミットメントについて書かざるを得ない。日本は南極条約のオリジナルメンバーだし、貢献度は高い。.ウォーカーは果たして、白瀬中尉の初期の南極探検から、さまざまな業績について記してくれた。訳文は翌日には仕上げて山梨の山荘から出版社に送り、翌日にはゲラになり、これをアタマに入れたので、ページは順送りになった。それが入る前から、400ページを超えていたが、この序文は十分に意義があった。セールスプロモーションのうえでも。
★8月末日はさわやかな晴天で、久しぶりにサンメドウズに行ってみた。ここは、冬場はスキー場だ。標高1900メートルまでパノラマリフトで上ると、グンと涼しい。だから山頂では、いまがユリの満開時期。つぼみもまだ、たくさんある。陽光をたっぷり浴びているから、赤も黄色も色が鮮やかで、匂いも強い。これは、期待していなかったから、嬉しかった。たしか四年前に来たときは、シカにユリの球根を食べられてさんざんだったので、それ以後の二年間は信州・富士見高原のゆり園に方向転換していた。だがサンメドウズは、汚名を挽回した。また、こんどここで図らずも初対面したのは、アラスカ原産のマラミュート犬という巨大犬だ。セントバーナードよりでかい。オーナーによると、♀だが45キロあるという。小淵沢のブリーダーから買ったそうで、死んだ♂は60キロあったそうだ。オーナーは、リフトで頂上まで連れて行くというので、オープンエアのベンチ型リフトではなく、数台が用意されていて、ドアつきゴンドラに乗せる。乗降の際には、一時的にリフト全体が停止する。ここにはドッグランの施設もあって、お犬様は優遇されている。山頂では「スカイソフト」というスイーツを売っていて、通常のコーンと違って、外側がパンで、長ーい容器にソフトクリームが詰まっていて、食べでがあるし、腹も膨らむ。
★山荘でも、いくつかヒョウタンが育っていた。つる首というくびれのない種類で、まだ小さい。ここでは意外な敵がいて、葉にイモムシ的なギザギザ虫が結構はびこっていて、それを食う昆虫が足りないようだ。葉っぱには糞ががたくさん落ちている。つまり、山梨ではヒョウタンの収穫は、あまり期待できない。東京では、大きいのが10個あまりは収穫できる見込み。山荘の周辺では秋の気配がにじり寄っていて、赤トンボが舞っているし、コスモスやススキも目立つ。朝は20度を割って、Tシャツと半ズボンでは寒いくらい。ミニカボチャは1個だけ収穫して、甘みを増させるためにしばらく寝かせる。山荘に来たときは必ず行く温泉「パノラマの湯」は、8月上旬に厨房から火事を出して臨時休業中。お盆と夏休みのかき入れどきを、フイにした。こちらも、自宅のシャワーで代用。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1652

★前にこのコラムで、Sylvain Tesson:"Consolations of the Forest: Alone in the Middle Taiga"の本について書いた。シベリア・バイカル湖のほとりにある小さな小屋で、冬の半年間、一人で暮らしたフランス人ノンフィクション・ライターの体験談だ。フランス語の原本"Dans les Forets de Siberie"は2011年に発刊され、権威あるメディシス文学賞のノンフィクション賞を受賞した。それがこの9月の半ばに、英訳されて発刊される。100年あまりも前に、アメリカのヘンリー・デイヴィッド・ソローが書いた名著『森の生活』を思い起こさせる。つまり、これはバイカル湖のほとりの「ハット・ウォールデン」ではないか。ぜひ比べて見たい。英語版の完本を、エージェントから刊行前に見せてもらった。著者テッソンは旅行作家で、40代になる前にこれをやってみたかったという。ソローのような反体制姿勢ではなく、ただし文明生活には反発を感じ、「雑音のない場所で暮らすぜいたく」を味わいたくて、おびただしい本(そのなかには三島由紀夫もある)やウオツカを小さな木造小屋に持ち込む。マイナス30度のなか、頼りになるのは薪ストーブだけで、クマ退治の銃は持っていない。フランス風のエスプリや気の利いたジョークもたくさん盛り込まれている。つまりソローと比較するような著作ではないが、いい読みものだ。フェイスブックで紹介したら、フレンズになっている複数の編集者たちから、すぐに「いいね!」の反響があった。
★日本人のノンフィクションライターにも、いい本を書く人が増えてきた。角幡唯介『アグルーカの行方』(集英社)は、19世紀にイギリスの北極探検隊129人が消えたフランクリン隊の行方をさぐる探検行のルポ。この著者は、前にも大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞している。前にも書いた高野秀行『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)も、似たような「体当たりルポ」だ。角幡は、朝日新聞社にもいたことがある。私も、実はこのようなルポをやってみたかったのだが果たせなかったので、このような著作に惹かれる。日本にもスケールの大きな仕事ができる人が出ていることはうれしい。
★上智大学は、今年、創立100周年を迎える。先日、学長と理事長の名義で、東京国際フォーラムで開かれる記念式典の招待状が届いた。「はて?」と思って考えて見たが、思い当たるのは、私は時間講師を20年あまりやっていたからだろう、と思い当たった。長いこと、主として新聞学科の二年生に「論文作法」の講座を持って、作文の添削をやっていた。「退職手当」はなかったから、名誉を与えられたのか、と解釈している。11月1日の金曜日が、その佳き日だ。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1651

★セミの声は嫌いじゃないけれど、しばらく前、東京の自宅で早朝4時半にセミの大音声で起こされた。わが家の庭で、脱皮したんじゃないかな。あのデシベル加減は、目覚まし時計を超えるし、長くないているから、いやでも目が覚める。ミンミン(アブラ)ゼミだった。これはいかにも暑苦しいなき声だ。東京ではこれが主流で、たまにツクツクボウシがなく。山梨の山荘付近では、この二種もなくが、カナカナゼミ(ひぐらし)のセミ時雨が降り注いで、これは涼しげでいい。外国人のなかにはセミを知らない人もいて、スズメやネズミほど普遍的ではないと思われるが、ボクの体験では、アメリカの首都ワシントンの夏は、セミがかしましかった。
★一日おきぐらいに、アメリカ・サンディエゴ動物園のパンダカムでパンダ親子の映像を見る。お出ましになっていない時間帯もあるが、ライブカメラも進歩して、パンしたりズームたりして追いかける。子どものXiao Liwu(小礼物)は7月29日で満1歳になった。お母さんは、多産のBai Yun(白雲)。いま夏休みで、日本のテレビでも動物園の赤ちゃん特集をやっていた。これはいつどこでだれが見てもカワイイから、視聴率は高い。昔からマスコミの鉄則があって、これは不変の教訓だ。「ネタに困ったら、動物園に行け」。
★つい2日前に、わが家の「大カンピョウ」の写真をフェイスブックにアップして、洗濯もの入れのネットにくるんで落下を防いだ、と書いたばかりなのに、2日後に、地響きを立てて3メートルの高さから落下した。落ちる過程は観察していなかったが、経緯はこうだと思われる。ーー重さに耐えかねて、ツルがちぎれた。洗濯ネットにかかる重みのバランスがくづれネットに通してあった、ねじった太いビニール紐が抜けて、ネットに入ったまま崩落した。紐は、切れずに残っている。だがネットに入ったままだったから、浜辺のスイカ割りのように粉々にはならず、亀裂はいくらか入ったものの、原型はとどめている。したがって、応急処置としては傷口に接着剤を塗ってあるが、役に立つかどうかは、しばらく経過を見ないと分からない。重さは推計8キロだったが、実測では10.2キロだったから、「ブラジャー」のサポートがあっても耐えられなかった。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1650

★NHKのテレビニュースでは、エジプトの政変に関してつねに「事実上のクーデター」という表現を使っているのが、いつも気になる。「事実上の」というのは余分で、軍事クーデターそのもので、疑う余地はない。歴史としても、そう記録されるに違いない。前大統領のモルシは確かに処刑されてはいないが、合法的に得た地位を軍部に簒奪された。だからムスリム同胞団は執拗に抗議しているわけで、臨時政権の「良心」であるエルバラダイ副大統領は辞任した。弾圧が激化して、事態は「シリア化」して内戦に発展した。解決の見通しは、まったく立たない。中東の混迷は悪化する一方で、アメリカのケリー国務長官はイスラエルとパレスチナの間だけはなんとか和解に持ち込みたいと懸命に画策しているが、これもなんら明るい見通しはない。「アラブの春」なんて、どっかに消えてしまった。
★マーク・アダムス『マチュピチュ探検記』(青土社)は、私が今年これまでに読んだ翻訳ノンフィクションとしては、最も面白かった。100年まり前の1911年に、アメリカ人のハイラム・ピンガム三世がインカのこの遺跡を「発見」したのだが、著者は歩いてその足跡をたどる。ピンガムの功績はたたえられ、彼は政界にも進出する。彼の英雄譚はインディー・ジョーンズの話に結実するが、後年の研究によってピンガムの仮説は次々に覆されていく。だが観光地としてのマチュピチュの人気は、ますます高い。とんでもない場所にある太陽神殿は、だれでも行って見たいと思うから。でもインカのナゾはまだ全面的に解けたわけではないから、人気が持続することは間違いない。ボクは、日本の国立科学博物館がやったバーチャルリアリティの映像で、「行ったつもり」になっているけれど。
★"Antartica"の初校ゲラを読み終えて、おそらく次は"The Ageless Generation"に取り組む。どちらも私が気に入って自主的にレジュメを作ったもので、賛同してくれる出版社が出てくる。私は「これで翻訳の仕事はやめよう」と毎回、思うのだけれど、いつも「後ろ髪を引かれて」しまう。「長寿の話」は引け際としては最もふさわしいテーマなのだけれど、残念ながらこの本は高齢者をむしろエンカレッジする内容だから、また「乗せられて」しまうかもしれない。版権の取り扱いエージェントを探しあぐねていた"The Consolations of the Forest: Alone on the Siberian Taiga"も版権の所在を探り当てたので、発刊前に読めそうだ。ただし、フランス語からの英訳を読んでみないと判断できない。ヨーロッパ語同士の翻訳はほぼ安心できて、ボクはこれまでに、ドイツ語、スペイン語からの英訳を読んだことがあるが、いずれもすごくよくできていた。フランス語も同様だろう、と期待できる。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1649

★猛暑のなかで"Antarctica"のゲラを読むめぐり合わせになったが、30度のなかでマイナス30度の話を読んでも、いっこうに清涼感はない。邦題は未定だが、9月に柏書房から刊行される。その後の私の翻訳予定は未定だが、前述した"The Ageless Generation"に関心を持って検討している出版社もあるので、まだペンディングだ。そのほかに私が興味を持って追いかけている複数の本については、まだ見通しが立っていない。だがそれ以外にも、次に触れるような、「ちょっと面白そう」な本もある。
★世界中のほぼだれもが知っている、「架空の人物」がたくさんいる。アメリカの雑誌"TIME"がまとめて9月に刊行される"The 100 Most Influential Pepple Who Never Lived."という近刊書がある。たとえば、シャーロック・ホームズ、ドン・キホーテ、ロメオとジュリエット、ピーター・パン、フランケンシュタインなどなど。いずれも、シンボリックは意味でも知れわたっている。いわば、「スーパー架空人物ベスト100」だ。類書はこれまでにもあって、私は翻訳するうえで役立つので、手元に『欧米文芸登場人物辞典』(大修館書店)や、"Imaginary People: A Who's Who of Modern Fictional Characters,"などを手元に置いてある。こんどの本に登場する100人のなかに,私が知らない人物が含まれているかどうかは分からないが、日常的にそれほどなじみのない架空人物もある。たとえば、スクルージとかエイハブ船長、ドラキュラ伯など。いずれもクイズ的に答えることはできても、正しく定義できない「人物」がいるかもしれない。「タイム」誌の新刊は、それほど新味はないともいえる。100人に絞るとなると、異論は出てくるだろう。全貌は知らないが、たとえば。スーパーマンはいるのに、なぜミッキーマウスはいないの? あれは人間じゃないから、とか。つまり、独断と偏見で選ばなければ決められない。
★いまアメリカでベストテンに入っている、イエスの新しい伝記がある。Reza Aslan:"ZEALOT(熱心党): The Life and Times of Jesus of Nazareth. "なんでいまごろ、といぶかった。でも、「ジーザス・クライスト・スーパースター」というミュージカルが出たときは、その新解釈に「びっくりしたな、モー」。ロンドンで舞台を見て、そのあと映画も見た。こんどの新刊には、どのような新味があるのだろう。「ニューヨーク・タイムズ」に書評が出て、ある程度、納得がいった。この著者は、イスラム教徒だ。だが、キリスト教徒だって、予言者ムハンマド(モハメッド)の本を書いているんだし、それはオアイコ。それにこの本でも、イエスを否定しているわけではない。だが副題にあるように、イエスの時代のパレスチナの現状を描くことが狙いの一つだったのかと思われる。それで、いいじゃない。でも、ボクは改めてこの本を読んでみたいとは思っていない。イエスの生涯に関して、私がひそかに「こうであったに違いない」とカンピューター的に信じていることが2点ある。①イエスは、十字架上で息絶えたのではない。したがって「復活」できた。②イエスは独身ではなく、奥さんは「マグダラのマリア」だった。この仮説をひっくり返すことのできる証拠は、だれも提示できない。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1648

★山梨の山荘でチョウの羽化を目撃したが、どうやら国蝶オオムラサキのようだ。同じ北杜市の長坂にオオムラサキセンターがあって、飼育しているし、野生のも舞っている。クヌギやエノキが幼虫にも成虫にも必要だが、わが家にもエノキが複数ある。テラスからちょっと離れた場所なので望遠レンズでも撮るのがしんどくて、しかも羽を広げないと特徴が分からない。撮れたコマはピンぼけだったが、羽の下部に特色のあるオレンジ色のスポットがある。この個体は、メスらしい。♀は紫色の輝きが♂ほどあざやかでなく、茶色っぽい、と図鑑にはある。だが斑点の散らばり具合と色は間違いなくオオムラサキだ。羽化は6月末から7月末で、最盛期は7月だという(見たのは、7月31日)。オオムラサキセンターには二度、行ったことがあるが、いまは子どもたちで賑わっていることだろう。前に行ったときには、カブトムシのヘラクレスも触らせてくれた。オオムラサキは、75円切手のデザインに採用されている。
★近くに地産野菜などを売っている、「パノラマ市場」がある。隣がパノラマ温泉で、運がよければ富士が見えるのでそれにあやかった命名だ。昨年秋、パノラマ市場で、ユウガオの長いのと丸いのを買って来て、冬に不在の間、洗濯ネットに入れてテラスに干しておいた。今年の春に行ってみると、丸いほうは乾燥して潰れていたが、50センチの細長いほうは、カラカラになって、ほぼ空気の重さになった。これを、マンガチックなトーテムポールに仕上げた。5段になっていて、上からフクロウ、サル、人間(あるいはボク)、ブタ、くまモン。ヒョウタンでもトーテムポールを作ったことがあり、くびれがあるものにも面白い味はあるが、ズドンとしたものは、もっとふさわしいかもしれない。不思議なことに、カナダのバンクーバーにはトーテムポールがたくさんあって、ボクが「世界のトーテムポール」の写真集を買うきっかけはそこにあった。魔除け的な意味があるから、コワクておどろおどろしい顔、とくに鳥が多い。次にボクがチャレンジしようと思っているのは、カラーコーン・アートで、黄色や赤のドライなトウモロコシ粒は、たくさん用意している。
★山荘のお隣のOさんは、四代目くらいのオーナーだ。別荘としてではなく、神奈川から移住してファーストハウスとして使うことにしたので、かなり整備した。奥さんが、このほど、喫茶室を開いた。ご主人は、額縁の製作をやっていたので、その販売もやるという。だから、テラスと玄関口に、二つのテントが張られた。ボクも、ヒョウタン工芸やマツボックリ工芸を即売しようかと考えたことがないでもない。だが、このあたりを歩くハイカーはそれほど多くはなく、たいていはクルマで通過してしまう。クルマが停車して買ってくれるのは、いまのシーズンだとモモやこれからはブドウで、コーヒーの需要がないわけではないが、人里離れた場所でのショウバイはきびしい。このあたりのペンションは、経営者の老齢化と人気の凋落で、廃業が相次いでいる。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1647

★9月半ばに英訳が出る次の本には、興味がある。英訳というのは、原文がフランス語だからで、フランスでは賞も取っている作品だ。Sylvain Tesson:"The Consolations of the Forest: Alone on the Siberian Taiga."読んでみたいと思って日本のエージェント4つに尋ねたのだが、見つからない。ひょっとしたら、「直「ちょく}」なのかもしれない。稀にそういうケースがあって、前に訳したスチュアート・ブランド『地球の論点』(英治出版)がそうだった。エージェントを通さないやり方だ。ブランドの"Whole Earth Discipline"の場合は、あらかじめそれを知っていたので、出版社が版権交渉をやった。さて、今回のテッソンの作品は、シベリアはバイカル湖のほとり、近くの町から120キロほど離れた人里離れた場所で、冬期はマイナス30°にもなる。それを聞いて、私はヘンリー・デイヴィッド・ソローの『森の生活』を思い出した。つまりこれは、シベリアのハット・ウォールデンだ。著者は、本や葉巻、ウオツカを持ち込んで孤独な生活を送る。だが、これが単なる冒険譚では価値がない。ソローの場合には、兵役拒否とか、文明批評があったからこそ、評判になり、いまだに読者がいる。テッソンの作品は、サンプルで読む限り、文章的には面白いが、内容の全貌は分からない。私はヨーロッパ語同士の訳文、たとえばドイツ語→英語、スペイン語→英語の作品を読んだが、まったく違和感はなかった。もう少し、追求してみよう。
★だれだって、自分に興味のある本しか読む気にはならない。最近、私が読んでみたのは、①ブライアン・フェイガン『海を渡った人類の遙かな歴史』(河出書房新社)、②マーク・アダムス『マチュピチュ探検記』(青土社)。そのような系譜からいうと、"The Ageless Generation"は、ちょっと私のテリトリーからは外れている。1章の試訳をしてみたが、やはりフィットしない。インターネットで、ほぼすべての医学上の単語の訳語は拾える。だが、内容的に100%理解できているわけではない。「餅は餅屋」にまかせるのがベストであることを、改めて認識し直した。「長寿ルネサンス」の現状を知って、老齢化進行中の私としては得るところが多かったが、「はい、そこまでヨ」。したがって、次に翻訳を手がけるとしたら、「シベリアのハットウォールデン」ないし、面白そうな作品は多々ある。読んでみたら多くが「オビに短い」のかもしれないが、そのほかにも次々に出てくる。「待てば、海路の日和あり」。待ち時間がどれくらいあるのか分からないけれど、あわてることもあるまい。
★朝日新聞社の実務を離れて十数年も経つのだが、オリエンタルランドでは律儀に「プレスファミリーデイ」の招待券をくれる。そこで例によって、孫たちのうち都合のつく者だけを連れて、今回はディズニーシーに行ってきた。入場券のほか、食事券が一人2000円出る。天気予報は曇りだたが、陽が出て暑くなった。だが千葉県浦安市は沿岸なので、海風が割に心地よい。夏には「ウェット・バージョン」が用意されていて、ランダム噴水でびしょ濡れになってはしゃぐ子どもたちは、プール用のビニール袋に着替えを持参している。アクアトピアにも注意書きがあるので、カメラはしまって乗り込んだが、帽子もシャツも半ズボンもたっぷり濡れた。夕方から黒雲が見えたので、われわれ老夫婦は早めに退散したが、バスが新宿に近づいたころから激しい雷雨で、傘は持っていたが、靴の中まで水浸しになって、二度目のずぶ濡れ。ディズニーで歩き回るのはやめようと思いながら、1日を終わってみたらやはり2万6000歩超。懲りないボク。 仙名 紀

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トリビア・ジャーナル1646

★小学校の夏休み前のほうが観光地は空いているだろう、というもくろみで、その直前に、岩手→秋田の旅を設定したのだが、東北はまだ梅雨が明けなかった。
☆まず、東北新幹線で盛岡へ。そこから、バスで35分の小岩井農場。今年は創設して122年になるそうだ。明治の末期に小野・岩崎・井上の3人が開拓し、3人の頭文字を取って小岩井農場と名づけた。古くからあった地名ではない,だがいまではJRに「小岩井」駅がある。「まきば園」はレジャー施設になっていて、夏休みが盛りになると、透明ボールに入って転がって遊ぶ「アルマジロボール」とか「水上ハムスター」、「バンジ-・トランポリン」などがあって、楽しそう。ウシの放牧は朝のうちに終わってしまうが、ヒツジは草の上で群れていた。ハイブリッドのミニチュアホースが何頭かいて、100円でニンジンの餌を買って与えられる。ミルク館、ウール工房もある。ミルクやチーズ、ソフトクリームは、当然お手のものの名産品。
☆乳頭温泉はエロチックな名前だが、近くにある乳頭山(あるいは烏帽子山)が名前の由来。その形を眺めたかったが、温泉に来てみたら、もうここからは見えないという。近くを流れる渓流は風情があるのだが、「五月雨を集めて早し・・」でコワイほどの激流と轟音だった。宿の温泉には、「金の湯」と「銀の湯」があった。
☆「海フェスタおが」がいま開かれていて、その祝賀式に秋篠宮も臨席された。男鹿港には、帆船「日本丸」も停泊している。白い穂を張っていれば絵になるのだが、二日ほど早くてまだ帆柱だけだった。このイベントのキャッチフレーズに「北緯40度に舵をとれ」とある。男鹿半島の先端、入道崎にその北緯40度の記念碑があって海岸の勇壮な景色とともに、それを見てきた。
☆男鹿半島の西端、戸賀温泉の「ホテル帝水」は、「夕日の宿」で売っていて、昭和天皇など皇族が何人も宿泊している。食事の場にも、大きなガラス窓があって、日没の刻一刻を眺められるようになっている。7月18日の朝、乳頭温泉では大雨で、予定より早いバスで田沢湖駅に戻った。だが秋田駅に着くころ雨は止み、JR男鹿駅から宿の送迎バスで宿に着くと、しだいに晴れてきた。宿の人の話では、「これほどみごとな日没はめったにない」とのこと。すべての客にそう言うのかもしれないが、申し分のない日没だった、適度に少量の雲があってピンクに染まり、大きな太陽が水平線に音もなく没した。写真はフェイスブックで。 翌日は観光ハイヤーでなまはげ館と伝承館の実演を見た。なまはげの由来などについても、FBでくわしく書いた。 仙名 紀

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