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トリビア・ジャーナル1065

★前にこのコラムで、スーダンのダルフール紛争に関する日本語のいい著作がない、と書いた(1月24日の1061回)。それからまもなく、ダルフールだけに焦点を絞った本ではないが、日本人の手になる優れたルポを見つけた。白戸圭一『ルポ資源大陸アフリカーー暴力が結ぶ貧困と繁栄』(東洋経済新報社)。著者は、毎日新聞の元ヨハネスブルグ駐在特派員。彼はサハラ砂漠以南の広大な地域をカバーしていて、南アフリカとモザンビーク、ナイジェリア、コンゴ、スーダン、ソマリアが章ごとに取り上げられている。ナイジェリアについては、「油上の楼閣」という優れた見出しが付いている。ナイジェリアの石油について、私は"Crude World"で読んだばかりだが、こちら日本語のほうが切り込みも鋭く、広がりも膨らみもあって、いい読みものになっている。この著者も、大学時代からアフリカにのめり込んでいたので、にわか勉強よりもふくらみがある。私も大学時代の後半から朝日新聞社に入ったころはアフリカに興味があって、アフリカ協会に首を突っ込んでいた。「月刊アフリカ」という雑誌で、私は英文資料の邦訳をしていた。でも、やがてアフリカは遠のいてしまった。その後もアフリカの洋書は何冊も読んだし、アパルトヘイト時代の南アにもなんとか行ったが、今回の白戸氏の本では、記者魂にも共感しながら読んだ。しかし本のショーバイとしては、おそらくアフリカものはシンドイだろう、と推察する。
★同じ本の話だが、次はヨタ。新聞広告で『ヘッテルとフエーテル』というタイトルを見て、「ヘンゼルとグレーテル」のモジリだとピンときて、ニヤリと笑った。したがって、「日本タイトルだけ大賞2009」を受賞している。著者はマネー・ヘッタ・チャン。広告文面には「本当に残酷なマネー版グリム童話」とある。「減ってる」と「増えてる」を、ヤセとデブのマンガで表示してあって、著者の才覚を感じさせる(出版社は経済界出版局)。グリムの原作は「ハンスとグレーテ」だが、フンパーディンクの「おとぎ歌劇」は「ヘンゼルとグレーテル」になっていて、むかしクラシカジャパンで見て面白かったし、録画もしたはずだ。有名な曲もあるし、いい子ども用オペラだ。本のひねり手口は、読んでいないので分からないが、「ヘンゼルとグレーテル」は日本ではそれほどポピュラーなストーリーではないと思えるから、パロディ精神がどれほど生きているのか疑問だ。
★日本旅行作家協会で活動していたころ、同じ年代の仲間で「三六(さんろく)会」を結成していた。一九三六年生まれで、気の合うものが何人もいたからだ。さんろくは、「山麓」にも通じる。山登りはしないが、平地の山麓ならいくらでも歩く。外国や国内旅行にも、何回も一緒に出かけた。それぞれこの組織とも離別し、お互いに年賀状づきあいだけになっていたが、「お互いジジババにならないうちに会おう」ということになって近くランチミーティングを新宿でやる。もう十分ジジババにはなっているが、まだ「足腰は立つ」し、頭脳もひどく壊れてはいない。女性のTさんは、その間にガンと闘病して生環した。食品評論家・探検家でもある西丸震哉氏は奥さんがわれわれと同世代だが、何回も外国に一緒したひとまわり上の震哉さんのほうは大腿骨を骨折して入院中なので、いずれ花の季節になったらお見舞いと励ましに行こう、というツレナイ結論に達した。 仙名 紀

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